借金相談はどこがいい?元・消費者金融店長が教える正しい相談先5つ|“整理屋”に騙されないために

借金・債務整理

借金の悩みは、なかなか人に相談できません。家族にも友人にも言えず、一人で抱え込む――。そんな人を狙う「整理屋(せいりや)」という存在が、かつて確かにありました。

私は20代の頃、消費者金融の店長として「貸す側」にいました。その立場から、この整理屋の仕組みを間近で見てきました。今はもう同じ形は減りましたが、「困っている人を食い物にする構図」は、形を変えて今も残っています。だからこそ、知っておいてほしいのです。

整理屋とは?「おまとめ」を装って近づく

整理屋は、まず「借金を一本にまとめませんか?」という”おまとめ”を装った広告やDMでやってきます(今の銀行のおまとめローンとは、まったくの別物です)。

ターゲットは、すでに何社からも借りている多重債務者。どこかで買い集めた名簿をもとに、「毎月の返済にお困りではありませんか。一本にまとめませんか」というDMを送りつけるのです。

手口の流れ――「どこも貸してくれない」と不安を煽る

DMを見て来店すると、対応はこうです。

……残念ですが、うちでは融資できません。

そして、こう続けます。「でも、今のあなたの状態では、もうどこも貸してくれませんよ。」――そうやって不安を最大限に煽ったうえで、おもむろに「債務整理」や「自己破産」を勧めてくるのです。

なぜ弁護士を直接紹介しない?――非弁提携のからくり

ここがこの手口の”巧妙で悪質”なところです。

整理屋のような業者が、お金を取る目的で債務者を弁護士に紹介・斡旋することは、「非弁行為(ひべんこうい)」「非弁提携」として弁護士法で禁じられています。直接やれば捕まる。だから彼らは、間にワンクッション挟むのです。

たとえば――NPO法人の共済会や、労働組合のような団体をかませる。まずそこの「会員」として相談させ、そこから提携先の弁護士事務所へ流す、という形をとります。一見、まっとうなルートに見せかけるわけです。

そして肝心の弁護士事務所はというと、名前を貸しているだけの、ほとんど引退した弁護士が一人いるだけ。実際の手続きは、すべて”事務員”がやっている――そんな実態でした。いわゆる名義貸しです。

お金の正体――グレーゾーン金利の差額が利益に

では、彼らはどこで儲けていたのか。カギは、当時の「グレーゾーン金利」にあります。

かつて消費者金融は、利息制限法(年15〜20%)を超え、出資法の上限(当時は年29.2%)までの高い金利でお金を貸していました。この“合法とも違法とも言いきれない”帯の金利を、グレーゾーン金利と呼びます。

債務整理では、この借金を本来の利息制限法の金利に「引き直し計算」します。すると、払いすぎていた分だけ借金が減ります。整理屋の仕組みでは、この“減額できた差額”が、そっくり事務所側の利益になっていました。

債務者のほうは、以後は利息を払わず、減った元金だけを分割で返していく。たしかに毎月の返済は楽になります。ですが、その裏で、本来もっと債務者の手元に残るはずだったお金が、抜かれていたのです。

そして、債務者は泥沼へ

整理をしても、月の返済が減るだけ。もともと生活が苦しい人が多いので、途中でまた行き詰まってしまう方が少なくありませんでした。

しかも、一度債務整理をすると、大手の業者は警戒して貸してくれなくなります。すると行き場を失い、今度はもっと金利の高い悪質な業者に手を出す――こうして泥沼にはまっていく人を、私は何人も見てきました。

【元店長の本音】一度騙された人ほど、また騙される

現場にいて、しみじみ感じたことがあります。一度騙された人は、二度、三度と騙されてしまう。それが、悲しいけれど世の常なのです。

追い詰められているときほど、「助けます」という甘い言葉にすがりたくなる。その心の隙を、彼らは正確に突いてきます。だからこそ――困ったときに頼る相手を、最初に間違えないこと。これが何より大切なのです。

借金で困ったら――”正しい相談先”はここです

もし今、借金で苦しくて、誰にも相談できずにいるなら。怪しい業者ではなく、正規の窓口を頼ってください。以下はすべて公的・正規の相談先です。無料、またはわずかな費用で、ちゃんと話を聞いてくれます。

① 消費者ホットライン「188(いやや)」(無料)

局番なしの「188」に電話すると、お近くの消費生活センターにつながります。お金や契約のトラブル全般を無料で相談でき、「この業者、怪しいかも?」という確認にも使えます。運営は国民生活センターです。

② 法テラス(収入要件を満たせば無料+費用の立替も)

法テラス(日本司法支援センター)では、収入などの条件を満たせば、同じ問題について無料の法律相談(3回まで)が受けられます。さらに弁護士・司法書士費用を立て替える制度(民事法律扶助)もあり、毎月少しずつの分割払いでOK。「お金がないから相談できない」を解消してくれます。
📞 サポートダイヤル:0570-078374(おなやみなし)

③ 日本貸金業協会 貸金業相談・紛争解決センター(無料)

貸金業者からの借入に関する相談を専門に受け付ける、公式の窓口です。多重債務の相談にも対応しています。
📞 0570-051-051日本貸金業協会 相談窓口

④ 弁護士会の法律相談・弁護士/司法書士へ直接

日本弁護士連合会(日弁連)の窓口0570-783-110(なやみ ひゃくとうばん)に電話すると、お近くの弁護士会の法律相談センターにつながります。法律相談は30分5,000円程度が目安ですが、最近は借金問題は無料相談の事務所が多く、分割・後払いに応じるところもあります。

⑤ お住まいの自治体の多重債務相談窓口(無料)

市区町村や都道府県も、無料の多重債務相談窓口を設けています。「お住まいの地域名+多重債務 相談」で検索してみてください。「どこに相談すればいいか分からない」という人の、最初の一歩に最適です。

債務整理は「怖いもの」ではありません

「債務整理」と聞くと身構えてしまうかもしれません。でも、状況に応じて選べる方法があり、必要以上に重い手続きを無理に勧められることもありません。代表的な3つと、知っておきたい「過払い金」を、やさしく紹介します。

① 任意整理――いちばん多く使われる方法

弁護士・司法書士が貸金業者と直接交渉し、これから先の利息をカットして、元金を3〜5年ほどの分割で返していく方法です。裁判所を使わず、財産も手放さずに済むため、もっとも多く利用されています。家族や勤務先に知られにくいのも特徴です。

② 個人再生――借金を大きく減らして家を残す

裁判所を通して、借金を大幅に(場合によっては5分の1ほどまで)減らし、残りを分割で返していく方法です。住宅ローンを払い続けながら、マイホームを手放さずに借金を整理できる可能性があります。

③ 自己破産――返済を免除してもらい、再出発

どうしても返せないとき、裁判所に認めてもらって借金の返済を免除してもらう方法です。一定の財産は手放すことになりますが、生活に必要なものは手元に残せます。「人生の終わり」では決してなく、もう一度立ち直るための制度です。

もしかすると「過払い金」が戻ってくるかも

かつての高い金利(グレーゾーン金利)で長く返済していた人は、払いすぎた利息=「過払い金」が戻ってくることがあります。「もう完済したから関係ない」と思っている人でも、対象になる場合があります。心当たりがあれば、一度、正規の弁護士・司法書士に確認してみる価値は十分にあります。

いちばん大切なのは――「整理屋」のような業者を経由せず、正規の弁護士・司法書士に”直接”相談すること。一人で抱え込まず、まずは正しいドアを叩いてください。道は、必ずあります。

この記事のまとめ
まりも

「整理屋」は“おまとめ”を装い、非弁提携や名義貸し弁護士を使って多重債務者を食い物にしてきました。一度騙された人ほど、また騙されてしまいます。

だからこそ、最初の相談先を間違えないこと。正しい窓口は——消費者ホットライン188/法テラス/日本貸金業協会/日弁連/自治体の窓口。すべて公的・無料(または低額)で相談できます。

借金の悩みは、一人で抱え込まないで。正しいドアを叩けば、必ず道はあります。

※本記事は、筆者が過去に貸金業の実務に従事した経験と公開情報をもとにした、注意喚起のための個人の見解です。現在は貸金業を営んでおりません。制度・相談料等は時期や事務所により異なります。借金でお困りの場合は、必ず正規の公的窓口・弁護士・司法書士にご相談ください。

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