お金に困っているとき、人は冷静な判断ができなくなります。そして、そこを狙う悪質な業者が、世の中には残念ながら存在します。
私は20代の頃、消費者金融の店長として「貸す側」にいました。その立場で、お金に困った人を食い物にする手口を、現場で数えきれないほど見てきました。だからこそお伝えします。手口を知っておくことが、いちばんの防御です。代表的な5つを、現場目線で解説します。
手口① 紹介屋(しょうかいや)――紹介するだけで3〜4割抜く
これは当時、本当に流行りました。手口はこうです。
新聞広告やチラシに「振込OK・すぐ50万円」のような甘い宣伝を出す。お金に困った人がその番号に電話をかけると、ろくに審査もせず、十分ほどして折り返してきて、こう言います。
「当社の審査では、残念ながらお貸しできません。ですが、私が知っているところに裏で話を通して、特別に紹介します」――。
そうやって、比較的借りやすい高金利の業者を紹介するだけ。そして、その人がそこで借りられたら、借りたお金の30〜40%を「紹介料」としてかすめ取るのです。
恐ろしいのは、紹介された業者は、本人が自分で行っても借りられたところだということ。何もしていないのに、高金利で借りた上に3〜4割も抜かれる。貸金業法では、紹介料を取ること自体が違法です。「裏で紹介する」という言葉が出たら、絶対に関わってはいけません。
手口② 買取屋(かいとりや)――カードを”現金化”させる
「クレジットカードがあれば現金を作れます」とうたう手口です。指定された商品をカードのショッピング枠で買わせ、それを業者が額面よりずっと安い値段で買い取る。手元には目減りした現金が残り、後日カードの請求だけがしっかり来ます。
これはクレジットカードの規約違反(現金化)で、発覚すればカードの利用停止・残高の一括請求になることも。割に合いません。
手口③ 押し貸し(おしがし)――頼んでいないのに振り込んでくる
申し込んでもいないのに、勝手にあなたの口座へお金を振り込み、後から法外な利息をつけて取り立てる手口です。ヤミ金の常套手段で、一度口座情報が出回ると狙われます。
身に覚えのない入金があったら、使わずにそのまま。すぐに警察や消費生活センターに相談してください。
手口④ 整理屋(せいりや)――「整理してあげる」が罠
「あなたの借金、整理してあげますよ」と親切そうに近づき、相談料や着手金だけ取って、実際には何もしない、あるいは状況をさらに悪化させる業者です。正規の弁護士・司法書士による債務整理とはまったくの別物です。
借金の整理は、必ず正規の弁護士・司法書士事務所に。広告で甘い言葉を並べる「整理屋」には近づかないことです。
👉 整理屋の具体的な手口と、借金で困ったときの正しい相談先は、「借金相談はどこがいい?正しい相談先5つ」で詳しく解説しています。
手口⑤ ヤミ金(闇金)――トイチ・080金融
国に登録せず違法に営業する貸金業者が「ヤミ金」です。「トイチ」とは10日で1割の利息(年利にすると約365%)、さらにひどい「トサン」もあります。携帯電話の番号だけで営業する「080金融」も典型です。
一度借りると、暴力的・執拗な取り立てで、家族や職場にまで被害が及びます。絶対に関わらない。もし関わってしまったら、一人で抱えず、すぐに弁護士・警察に相談してください。
悪質業者を見分ける「危険サイン」
共通する危険サインを覚えておけば、ほとんど防げます。

- 「審査なし」「ブラックでもOK」「誰でも借りられる」とうたう
- 「裏で紹介する」「特別に」など、正規でない言い回し
- 連絡先が携帯番号だけ、会社の実体がはっきりしない
- 貸金業の登録番号がない(正規業者は必ず登録番号を持っています。金融庁の「登録貸金業者情報検索」で確認できます)
【元店長の本音】甘い言葉ほど、疑ってください
現場にいて痛感したのは、お金に困った人を狙う連中ほど、”優しく”近づいてくるということです。困っているときは、その優しさにすがりたくなる。でも、本当にあなたを助けてくれる人は、紹介料を抜いたり、甘い言葉で焦らせたりはしません。
もしお金に困ったら――いきなり怪しい業者に頼る前に、家族や信頼できる人に相談する。それでも難しければ、消費生活センター(局番なしの188)や、正規の弁護士・司法書士へ。正しい窓口は、必ずあります。一人で抱え込まないでください。
※本記事は、筆者が過去に貸金業の実務に従事した経験と公開情報をもとにした、注意喚起のための個人の見解です。現在は貸金業を営んでおりません。被害にあった・あいそうな場合は、警察・消費生活センター・弁護士等の公的・専門の窓口にご相談ください。



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